FFCタオルができるまで

綿を仕入れ、
糸をつむぎ、タオルを織る。
KBツヅキは全国でも数少ない、
糸からタオルをつくるメーカーです。
一連の工程を担う機能を自社で
持つからこそ形にできる、
私たちのこだわりをご紹介します。

※以下はファイバーフォース・コットン(FFC)を
紡績し、先染めでタオルをつくる場合の工程です

PROCESS

作業工程

綿を仕入れる

原料の綿をきびしく検査し、
高い基準で品質を保つ。

KBツヅキでは原料の綿をアメリカやオーストラリアなどから輸入しています。自然の中で育つ綿は、産地の土壌や気候によって特徴が異なります。そこで綿の入った袋一つひとつからサンプルを採取し、専用の試験機で検査を行っています。繊維の長さや太さ、強さなどを細かく数値で測定し、10俵単位で基準を満たすよう、特徴の異なる綿をブレンドして品質を均一に保ちます。

綿のブレンドには細心の注意が必要です。繊維の長さや太さの他にも、さまざまな点を考慮して、パズルのように組み合わせます。特に新しい綿に切り替わる時期は、その年の天候によって、色みや成熟度にバラつきが出る可能性があるため、収穫時期がちがう北半球と南半球それぞれの産地から綿を取り寄せるなどして、品質の安定に努めています。

原綿検査担当 岩田

ほぐす→すく→束ねる

かたい綿を解きほぐして、
繊維の束=スライバーに。

検査に合格した綿は、まず混打機(こんだき)という機械で解きほぐされ、細かいゴミを取り除かれた後、シート状の形に整えられます。次に梳綿(りゅうめん)という工程で、繊維の向きを整えられ、「スライバー」という繊維の束になります。そしてスライバーは、連条機という機械で太さが均一に整えられるとともに、繊維1本1本がまっすぐ並行に引き伸ばされます。

綿は輸送しやすいよう、カッチカチに梱包されたかたまりの状態(綿俵)で工場に届きます。綿俵1つの重さは約225kgで、標準サイズのバスタオル約600枚分もの糸ができるんです。良い糸をつくるには、綿を優しく丁寧にほぐし、ゴミをしっかりと取り除いてやる工程が欠かせません。

スライバー作成担当 竹中

機能を持たせる

繊維1本1本に機能を持たせる、
KBツヅキ独自の技術。

タオルに抗菌や消臭などの働きを持たせるには、機能液と呼ばれる薬液に浸す必要があります。通常のタオルづくりでは、糸や生地の状態で機能液に浸しますが、KBツヅキのFFCの場合は、糸になる前のスライバーを浸して機能を持たせます。この独自技術により、繊維の1本1本にまで機能液を染みこませ、高い効果と持続性を持たせることができるようになりました。

この工程では、他にも私たち独自の技術が活かされています。「TZ酸性酵素精練漂白法」は、綿に含まれるゴミを酸と酵素で取り除くことで、繊維へのダメージを抑えます。「TZ-SX加工技術」は、繊維をシリコン液に漬けることによって、機能を長持ちさせ、洗濯を繰り返しても生地を傷みにくくします。どちらも特許を取得したFFCの鍵となる技術です。

スライバーに機能を持たせる技術は、もともと染色時の精練漂白加工に使っていた設備を転用するというアイデアから生まれました。FFC糸は衣類などにも応用でき、世界中で機能製品が生産しやすくなるなど、さまざまな面で画期的です。染色工程での精練漂白が不要になり、CO2や排水の削減につながる点も大きなメリットと言えます。

機能加工担当 廣末

じっくり寝かせる

「熟成室」で、
潤いと柔らかさを取りもどす。

機能液に浸して乾かした後の綿は、加工による影響でストレスを受け縮んでいます。そこで、温度と湿度が管理された「熟成室」にスライバーを運び、一定期間寝かせます。こうすることで繊維が水分を吸いこみ、縮れがもどって柔らかさや強度も回復します。すると繊維1本1本が絡みやすくなり、毛羽の少ないしっかりとした糸ができるようになるのです。またこの工程をはさむことで、通常の糸づくりに必要な粗紡という工程を省略でき、CO2をはじめ環境負荷の削減につながります。

通常、スライバーを糸にするには、スライバーを引き伸ばす『粗紡』と、それをさらに大きく引き伸ばして撚る『精紡』の2つの手順を踏みます。最初から大きく引き伸ばすと、繊維が切れてしまうからです。しかしKBツヅキでは、『粗紡』を省略しています。これは、スライバーを熟成させることで、水分を吸収して復元した繊維同士が強く絡み合い、精紡をしても切れないようになるためです。このスライバーを直接糸にする「TNS方式」も、私たちが独自に確立したとても大切な技術です。

熟成担当 高橋

糸をつむぐ

スライバーを一気に引き伸ばし、
撚り合わせて糸に。

熟成室から運ばれてきたスライバーを、精紡機で引き伸ばし、撚り合わせて糸にします。KBツヅキが開発した「5線スーパーハイドラフト精紡機」は、通常の精紡機の引き伸ばし倍率がおよそ30倍のところを、5本のローラーで200〜300倍に引き伸ばすことができます。また粗紡工程を省くKBツヅキでは、撚りのかかった粗糸ではなく、まっすぐに伸びたスライバーを精紡機にかけるため、1工程除く分、短時間で糸にすることが可能です。

糸を染める

めざす色に染めるには、
染める前の準備も大切。

糸はボビンにきつく巻かれた状態で染色工場に届きます。これを、糸が均等に染まるようゆるやかに巻かれた「ソフト巻き」に巻き返します。通常の糸の場合、ここで繊維に含まれる油脂分や金属イオンなどを取り除く精練加工と、色素成分を分解して純白にする漂白加工を行います。染めの出来具合を左右するとても重要な工程です。
※FFC糸の場合、3の機能加工の工程で精練漂白を済ませているので、ここでは行いません。

そしていよいよ染色へ。ソフト巻きの糸を染色機の釜にセットし、染料を循環させて糸を染めていきます。タオルを織る前の糸を染めることを「先染め」と言い、織った後のタオル生地を染めることを「後染め」と言います。後染めの場合も、全体を均一に染めるには、生地の機械への詰め方や、染料を調節する薬剤の入れ方に注意が必要です。

タオルを織る

心地いい肌触りの秘密は、
糸の個性に合った緻密な織り。

糸はタオルの設計に応じた本数や長さに分割された後、織機の力で糸が切れないようのり付けされ、織機にかけられます。KBツヅキが使用しているのは、タオル専用の精密な織機です。織りを熟知したエンジニアが、糸の太さや強度、その日の温度や湿度なども踏まえて機械を細かく調整し、高い品質を保ちながら効率的な生産を行なっています。

タオルのパイル(糸がループ状にフワッとなっている部分)がキレイに立つかどうかは、生地のタテ糸の巻き方次第。糸の太さにぴったりの強さで巻かれるよう、織機を正しく設定する必要があります。また、自社で糸もつくっていることがKBツヅキの強みなので、今後はタオルの特性を生かした上で、どのような糸が織りの生産性を高められるのかも考えていきたいと思っています。

製織担当 川野

縫製→検品→配送

一枚一枚丁寧に仕上げ、
心をこめてお手元へ。

織り上がった生地は縫製へ。生地の左右の端(ミミ)を縫った後に切り分けられ、一枚一枚のタオルに。その後タグの縫い付けなどを行い、最終的なチェックを経て、お客様の元へ届けられます。